暇人の巣窟 Vol.3

暇人の巣窟

どうも。だいぶ前の話ですが、暇潰しにやった工作が失敗に終わり、人生の大事な4時間をドブに捨てた弓矢です。
何をしたかというと…
まずはこちらのスクショをどうぞ。

知らない人はいないであろう、あの有名漫画、五等分の花嫁がゲーム化したわけだが、そのゲーム内での四葉(緑の悪目立ちリボンの娘)のセリフである。(因みに、左から一花、二乃、三玖、四葉、五月。)
これを見て、なぜか工作意欲が湧いた俺。みかんに四葉の顔を貼り付けたら四葉になるのでは?

ということで、実際にやってみた…
材料は、せとか(八百屋で入手、298円)、ポリエチレン製ガムテープ(緑色)、落書き帳、セロハンテープ
まず、四葉のイラストを元に、ガムテープでリボンを作る(これに2時間)。パーツの接着はセロハンで。陰影はマジックで表現。次に、落書き帳に四葉の絵を描く。ちゃんと色も塗る(一連の作業に2時間)。ここまででこんなのができる。

よし、いい感じだ。最後はこれをせとかに貼るだけだ。やった結果こうなった。

おかしい。歪みが直らない。と、ここでようやく気づいた。球面に平面画を貼れるわけがないのである。こうして長時間に亘る工作は徒労に終わった。
せとかは美味しくいただきました。298円の価値はある。

前置きが長くなった。(ごめんなさい)
なぜ五等分の花嫁の話から始めたかというと、勘のいい人は分かるはず。今日5月5日と言えば、答えは一つ。そう、中野家の五つ子の誕生日だ。(こどもの日?知るか、そんなの)
ということで、今回はアニメ五等分の花嫁を100億倍楽しむ方法(石神○空風)を伝授しよう!唆るぜ、これは!

科学の力でアニメを楽しむ

まずは、五等分の花嫁の大まかなストーリー構成を説明しよう。この作品は、主人公:上杉風太郎と同級生のヒロイン:中野家の五つ子(一卵性)のラブコメである。風太郎はこの五つ子のうちの誰かと結婚するわけだが、一卵性ゆえに読者はそれが誰なのか見た目からは分からない。そこで、時を巻き戻して、風太郎が5人と家庭教師として知り合うところから物語を追って見ていくことで、未来の花嫁が誰なのかを推理していこうというものである。細かい話は原作を全巻買って熟読するなり、アニメを通しで見るなりして欲しいものだ。(因みに僕はアニメから没入した派)

さて、今回取り上げるのは2期7話『攻略開始』。この回では風太郎が温泉旅行に行っていると、偶然(?)五つ子も同じタイミングで旅行に来ていたことが判明。この頃、なぜか五つ子が風太郎に対してよそよそしい態度を取るようになっており、風太郎が今後の関係性に不安を抱いていた中、事件が起こった。五月(の変装をした誰か)に突然、教師と生徒の関係性に終止符を打つように言われたのだ。翌日、この件を本物の五月に相談。このようなとんでも発言をした偽五月の正体は誰かという話になり、第8話に続く流れとなっている。
もちろん原作未読(ネタバレ防止のため)であるから、僕はこの時点で犯人が誰かは知らない。実は、この事件が起こる前に、四葉が「う〜緊張してきた…うまくできるかな…」という意味深な言葉を残しており、関連づけて考えれば犯人は四葉と推測できるが、ミスリード誘発の罠の匂いしかしない。四葉の可能性を除去できそうな根拠はいくらかあげられるのだが、結局犯人は誰なのかの特定には結び付かなかった。

そして、悩んだ挙句閃いた。声の解析すれば良くね?

一卵性の五つ子で遺伝子が同じ、身体的特徴が同じ、すなわち声帯の構造も同じ。はずなのに、声優さんがバラバラなのである。つまり、現実世界的に声優さんの声帯構造が異なるはずなので、声の波形は異なるはずなのだ。実際、聞き分けも可能。偽五月の声が三玖っぽいとは思っていたものの確信が持てなかったため、音声解析を決行したのだ。使ったソフトはWavePad。こいつが有能すぎる。無料で公開されている解析ソフトは色々あるが、こいつは無料版でも楽しむには十分なくらいに機能が備わっている。さらには日本語対応だから英語しか書かれてない海外のソフトよりも圧倒的に使いやすい。
試したい人はこちら→https://www.nch.com.au/wavepad/jp/index.html?ns=true&kw=wave%20pad&gclid=Cj0KCQjw4cOEBhDMARIsAA3XDRh0mhT5iZJ_oMH7whx2Z-TiDpRNKHHcoezQ2eO7v9gV-TpC5SMve1QaApBnEALw_wcB

先に注意書き。以下は音声解析の知識がないド素人の僕がやったものです。よって、解析方法や図の見方も独自のものであり、解析として適切でない可能性は十分にあります。この点、ご注意を。

解析に使ったフレーズは
偽五月「と、とりあえず中庭へ」
本物五月(水瀬いのり)「ハ、ハンバーグ」 (第7話 風呂場で合言葉を言うシーン)
三玖(伊藤美来)「ふ、フータロー」 (第7話 三玖と風太郎の買い物のシーン)
四葉(佐倉綾音)「うぁぁ、上杉さん」 (第2話 池ポチャ風太郎に遭遇した四葉)
ストーリー的に一花と二乃は犯人の可能性があまりにも低いと見て除外。

結果は以下の通り。音声にカチッという音が入っているものがあるが、これは録音停止のクリック音である。また、録音の仕方の問題でノイズが多少入っている。

・偽五月

・本物五月

・三玖

・四葉

注目するのは下半分のスペクトログラム(カラフルなやつ。横軸が時間、縦軸が周波数、各周波数の強さを色の濃淡で表した3次元グラフ)の形状。黄色に近いほど強い音を表しており、厚みが出ているところが声の部分である。これを見れば一目瞭然。偽五月のようにモヤモヤと縦に伸びるスペクトログラムを示しているのは三玖である。一方、本物五月や四葉は綺麗な層状構造が見られ、本物五月より四葉の方が層の密度が高い。このことから、偽五月の正体は三玖だと確信を持ったのである。実際、第8話で正体が三玖だったことが明かされ、この解析結果が正しかったことが分かった。

この作品の核心に迫る

この作品の大きなテーマは「未来の花嫁は誰か」ということである。ありがたいことに、アニメ制作側は鐘キスシーン(この時の女の子が花嫁と同一人物)に大きなヒントを与えてくれていた。鐘キスで二人が転けるシーンをよく聞くと、抱きついてきた女の子のハッという呼吸音(吸気)が入っている。これを解析すれば花嫁を特定できるのでは?

解析に使ったシーンは
鐘キス 「ハッ」 (転ける瞬間)
一花(花澤香菜) 「他の娘のこと話さないで!待って!」 (第9話 一花が風太郎にサボりを提案するシーン。「待って」の後に呼吸音あり。)
二乃(竹達彩奈) 「はぁ…はぁ…」 (第1話 二乃が一番のりで風太郎の見舞いに来たシーン。走ってきたため、喘ぎ声が確認される。)
三玖(伊藤美来) 「うん!」 (第10話 三玖が焼いたパンを四葉に見てもらっているシーン。「うん」の後に呼吸音(鼻?)あり。)
四葉(佐倉綾音) 「うぁぁ、上杉さん」 (第2話 既出。これに続くセリフの発語準備のため、「上杉さん」の次に呼吸音が確認される。)
五月(水瀬いのり) 「はっ…!」 (第2話 風太郎と五月の夜道の散歩のシーン。風太郎が勉強熱心になった真の理由を聞き、心の琴線に触れたようだ。「…」の部分に呼吸音あり)

・鐘キス

厳密には、水色で囲った部分からBGMの拍を引いたものが呼吸音。とはいえ、BGMの拍が薄いので、差分を考えても大して変わらなさそうだ。

・一花

「待って!」の部分を増幅。「て」の後に何かしらの層状構造が見えたため、呼吸音と推測される。鐘キスで見られた周波帯とは異なる位置にピークが出ているようだ。

実は、一花が花嫁の可能性は低いと推測される。音声解析が関係ない理由で申し訳ないのだが、結婚式のシーンで字幕の会話が挿入されており、その中の「あはは、二人とも緊張してそー」というセリフが根拠である。これは一花に特有の話し方なのだ。

・二乃

全体を増幅。2回の「はぁ」の真ん中に吸気があると推測。少し周いよりも濃い部分が検出されたが、呼吸音と断言できるかは不明。いずれにせよ、形状自体が鐘キスのものとは異なるのでは?

・三玖

増幅なし。鐘キスと比較すると、層の数が少なそうだ。

実は、花嫁が三玖である確率も極端に低い。これも音声解析とは無関係の理由なのだが、体力がない三玖がわざわざ走ってきて風太郎に抱きつくとは考えにくいのである。

・四葉

「上杉さん」の部分を増幅。桃色で示した周波帯の中間部が黒抜けになっている(音がない)のが気になる。また、鐘キスで見られた最上層の周波帯が確認されない。ただ、今までの中では最も鐘キスのものに近い。

・五月

増幅なし。細線が何本も見える形の時点で鐘キスのものとはかけ離れている。花嫁が五月である可能性は低そうだ。

と、このように全てと比較してみたが、完全に一致するものは見当たらない。実際、クレジットには鐘キスの少女のキャストは書かれていないわけで、五つ子の声優とは異なる人が声を担当した可能性もある。5人のうちの誰かが声を当てたと言う条件が与えられたとしたら、正体は四葉(佐倉綾音)の可能性が最も高いと結論づけても良いのではないだろうか。果たして、答えは如何に。気になる人は原作を読んでみよう。

音声解析で納得できない人は、機械学習でAIにでも花嫁が誰なのか教えて貰えば良いのではなかろうか。まあ、原作は完結しているわけで、読み切った方が早いのは事実だが。

さて、2期の続編(映画化)が決定したわけだし、映画を見ながら原作との相違点を味わうことを目標として、公開の時までこちらも原作を熟読することに専念するとしようか。

超大作となってしまったVol.3はこれでおしまい。Vol.4をお楽しみに。

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