暇人の巣窟 Vol.4

暇人の巣窟

どうも。最近酷くイヤーワームに悩んでいる弓矢です。イヤーワームって言っても分かんない?曲が何度も脳内再生されるアレ。身近な現象名くらい、ある程度、正式名称を言えるようになっておこうね?

イヤーワームで再生される曲は最低でも主旋律くらいは楽譜に起こしたい衝動に駆られるという謎体質になってしまったわけであるが、時間を持て余しているときなんかはド素人ながらも耳コピをやっていると程よく時間が潰せるもんですなぁ。音楽とは無縁の生活を送る俺。人生の大事な時間をもっと有効に使えないものかとつくづく思ってしまう。一体なぜこうなった。多分、ホントに暇だったときにやってみたらプチマイブーム化してしまったんだろうなぁ。ああ、暇って恐ろしい。

もちろん、何もなしに「そうだ、耳コピをしよう」などということにはならない。耳コピをしてみようと思ったきっかけは一応あるのだ。その話の前に、今回の記事を読み進める上で大事な前提知識を解説しておこう。

これまた大事な話だが、僕は別に音楽をガチで勉強したことはない。小学生の頃にピアノを習っていた程度で、ちょっと(絶対)音感があるかなぁくらいの人間である。音感って言っても、車の走る音を聞いて音階を言い当てるとかそういう話ではない。和音を聞いて構成音を言い当てられるわけでもない。単音しか対応できないちゃっちい音感だ。
高校時代も芸術の選択授業(書道・美術・音楽から選択)があったのだが、創作能力の欠如を理由に消去法で書道を選択した人間。模写はできるが創作はできない。(前回の四葉も模写。)楽譜は読めるが作曲はできない。字を真似るならまあ、誰でもできるでしょ。書家の皆さん、ごめんなさい。
ってなわけで、以下の解説は僕が独学で得た知識をポワ〜ンとした感じで書いてある。解釈が正しいのかは知らない。このことを念頭に置いて読むんだぞ!

コード(和音)のお話

今回のテーマに関わる重要な前提知識である。これを理解しないと本題に移れない。
頻出(というか、これくらいしかみたことない)のコードを箇条書きに記す。コードの名前と構成音の対応(作り方)をしっかり頭に入れよう。普通のサイトでは長○度やら短○度といった専門用語を用いて解説が書かれているが、ここではそのような言葉は一切使わない。なんせ、僕が理解していないのだ。それでも構成音は理解できる。コード自体はそんなにややっこしいものではないようだ。
以下、分かりやすいように構成の仕方は全てキーをC(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)として解説する。キーが変わるときはCを基準に各構成音を使いたいキーまで平行移動させれば目的のコードが得られる。例えば、キーがD(レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・シ・ド♯・レ)なら、キーがCのものの構成音を全て1音分上げればいいのだ。

Ⅰ 構成音が3つのコード
①C (メジャー)
コードの中でも基本の基本。基準の音と、そこから半音×4、半音×7高い音を加える。構成音はド・ミ・ソ

②Cm (マイナー)
①の真ん中の音を半音下げたもの。構成音はド・ミ♭・ソ

③Csus2 (サス2)
Susはsuspendの意。ドの白鍵に右手親指(第Ⅰ指)を置き、そこからレ・ミ・ファ・ソの各白鍵に第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ指を置く。①の真ん中の音は第Ⅲ指であるが、sus2では、この真ん中の音を第Ⅱ指のものにする。つまり、①の真ん中の音を半音×2下げる。構成音はド・レ・ソ

④Csus4 (サス4)
③の第Ⅱ指を第Ⅳ指として考えれば良い。つまり、①の真ん中の音を半音上げる。構成音はド・ファ・ソ

⑤Caug (オーグメント)
①の一番高い音を半音上げる。構成音はド・ミ・ソ♯

⑥Cdim (ディミニッシュ) または Cm(♭5) (マイナーフラットファイブ)
③の考え方でいけば、ソは第Ⅴ指に相当する。Cm(♭5)をそのまま読むと、Cmの5番目に♭を付けろということ。5番目とは第Ⅴ指で、それを半音下げるのだから、構成音はド・ミ♭・ソ♭
因みに、dimとはdiminishの意。基準の音以外の音を全て半音下げるという意味である。この考え方でいけば、①の構成音のうち、基準の音以外を全て半音下げると、ド・ミ♭・ソ♭となり、結局同じコードを表すと分かる。

Ⅱ 構成音が4つのコード
⑦C7 (セブンス)
①のCに7(セブンス)をくっつける。セブンスは基準の音よりも半音×10高い音であり、構成音はド・ミ・ソ・シ♭

⑧CM7 (メジャーセブンス)
CにM7をつける。M7はセブンスよりも半音高い。構成音はド・ミ・ソ・シ

⑨Cm7(♭5) (マイナーセブンスフラットファイブ)
頭から読み下す。Cmにセブンスを付け、5番目に♭を付ける。構成音はド・ミ♭・ソ♭・シ♭

⑩Cdim7 (ディミニッシュセブンス)
これは⑨とは別物。かなりややこしい。頭から読み下してCdimにセブンスを付けると⑨と同じになるが、そうではない。C7をdimするのである。dimの定義は「基準の音以外の全ての音を半音下げる」だから、構成音はド・ミ♭・ソ♭・ラ

このルールでコードの構成音を考えれば、例えば、Gaugと言われても、基準の音G(ソ)に対して、Gのメジャーを構成(ソ・シ・レ)してから一番上の音を半音上げればソ・シ・レ♯であることがすぐに分かる。

実は、「/ (スラッシュ)」を用いて一番下の音を指定するというものもあるが、あまり気にしていない。例えば、ド・ファ・ラという三音からなる和音のコードを聞かれたとき、基準をドで考えるとコードの説明がしにくいが、基準をファとすれば、構成音はファ・ラ・ドと考えられる。これは他でもないFのメジャーコードだ。厳密に言えば、F/C(スラッシュの後ろに一番下の音を書く)となるが、和音の本質はFなのだから、Fとしてもなんら問題はない。

万能(?)な伴奏〜カノン進行の魅力〜

さて、耳コピをやってみようと思い至ったきっかけに話を戻そう。春休みにあまりに暇を持て余したので、何をしようか考えていたときに、ふと9年ほど前のとあるテレビ番組を思い出した。その名も『ワラッタメ天国』。この番組はいろんな芸人がタメになる話をネタにして、笑いをとりながら解説する番組で、雑学を長期記憶として定着させるには非常に合理的な番組であった。その中でも特に記憶に残っているのが上々軍団が披露した「名曲の伴奏は共通」というネタである。完全には覚えていなかったが、ネットにあった情報を頼りに当時のネタを再現してみた。ネタとはいえ、使われていた曲を再現しただけであるが。それがこの動画である。

「ただのメドレーじゃん」で終わってはいけない。左手(ヘ音記号)の譜面に注目してほしい。2小節を単位に同じ伴奏を繰り返しているのである。2拍分ずつ注目して、コードは順にAm, Dm, G, Cである。伴奏を共通にすることを大前提としているため、曲と曲の間の接続が綺麗でないものも見られるが、全体的にはそこそこ上手くいっているのではないだろうか。

どうでもいいが、使われている曲は何か分かっただろうか?正解は順に、「おどるポンポコリン」、「残酷な天使のテーゼ」、「マル・マル・モリ・モリ!」、「言葉にできない」、「愛唄」、そして最後はなんと、かっぱ寿司のcmソング
伴奏を揃える都合上、キーは全てCに揃えているが、原曲のキーは順に、F, E♭, F, G, A♭, Cである。

にしても、ネタのタイトルは「名曲の伴奏は共通」。最初の5つは名曲でいいとしてかっぱ寿司はどうなんだ。かっぱ寿司も名曲だったのか?はたまた他5つがかっぱ寿司程度の曲だったのか?

再現が予想以上の仕上がりになり、少し浮かれた僕はこの4つのコードを使って身近な曲でさらに実験を行なった。キーはD(またはBm)に調節した。これまた意外と上手くいったのである。それが下の2作品。

・チョコボール

クエッ、クエッ、クエ、チョコボ〜ル♪

・大盛況

某コンビニの入店音。

この再現を作ってみて、今度は別の記憶が蘇った。別の番組で、「カノン進行を元に作られた曲は間違いなく名曲になる」という話が出てきたのだ。カノン進行とは、パッヘルベル作曲のカノン(卒業式でよく流れるアレ)に使われているコード進行である。使うコードはキーをCとすると、順に、C, G, Am, Em, F, C, F, Gである。各コードの構成音を順に見ていき、その中から1音ずつ取り出してみよう。ミ・レ・ド・シ・ラ・ソ・ラ・シという白鍵を隣に移動していく動きを抽出できるだろう。この運びは日本人には心地よく聞こえるらしいが、真相は如何に。ともあれ、一定の法則でコード進行を作ると万能の伴奏ができることは間違いないようだ。以下ではこのカノン進行を使っていろんな曲を採譜してみた。アニソンも採譜してみているが、気力と時間の都合上、冒頭部だけとなっているものがある。また、楽譜にコードを記した部分があるが、これはカノン進行からズレた部分のコードを書いたものである。

・ホクトのcmソング

きのこっの〜こ〜のこ元気のこ♪エリン〜ギまいたけブナシメジ♪

・ネコぱらOP

( ฅ•ω•)ฅ ニャー!

・かのかりOP

第6小節以降がカノン進行。

・プライド革命

全体を通して曲調同じじゃね?という直感を信じ、TV size全体を採譜。ほぼ全体的にカノン進行で伴奏が噛み合っている超絶レアケース(多分)。

結構上手くいくもんだ。伴奏に困ったらとりあえずカノン進行を試せばいいのでは?と言いたくなるくらいに万能感が出ている。

おまけ

今期アニメに「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」なるものがある。これのOPが耳に残ってしょうがない。今までの作業からコード進行に原因があると推測した僕は第一選択肢として伴奏にカノン進行を用いてみた。が…
第6小節から破綻したのだ。(早い!)
第10小節までは自力でやったが、それ以降の伴奏は挫折。主旋律は採譜できただけまだマシだった。ということで、その先の伴奏はRain GadgetMusicさんのyoutube動画(リンク:https://www.youtube.com/watch?v=Tkqzkw05pHw)のコードを参考に作り切った。さっきまでと同様に、カノン進行とズレているところには全てコードを書いてみた。

お気づきの通り、もはやカノン進行は全く関係ないのである。そりゃ、破綻するに決まっている。しかも、使っているコードはセブンスコードだらけ。耳コピド素人の僕に分かるわけがない。どうやら、このセブンスコード特有の不安定な感じの響きが耳に残る原因だったようだ。カノン進行の絶対信仰はやめておけということだ。臨機応変にコードをつけられるようになるのが一番なんだが、曲調からコードを1発で当てられるようになるまで、果たして何年かかるのだろうか…

Vol.4は以上。Vol.5をお楽しみに。

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